たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

菊地成孔の粋な夜電波(9月16日放送)を聴く

録音しておいた、粋な夜電波を聴きました。

 

2012年9月16日・菊地成孔の粋な夜電波(TBSラジオ)

「女子ジャズサミット」と題し、アルトの纐纈歩美さん、トロンボーンの駒野逸美さん、トランペットの市原ひかりさんが登場。菊地さんいわく、「アイドル売りではなく、きちんとしたスキルを持つ女子がジャズ界に普通にいる時代になった」とのこと。そんな若手女子ジャズメンと、「どこで練習してる?」とか、「サックス&ブラスマガジンみたいな話」(菊地さん)をしたり、リスナーからの質問に答えたり。

 

3人のゲストは、いずれもブラバン出身。うち2人は音大のジャズ科出身で、プレースタイルは全員オーソドックス。「最初に影響を受けたジャズは?」という質問に対する答えが、メイナード・ファーガソン(市原さん)、JJジョンソン(駒野さん)、チャーリー・パーカー(纐纈さん)。うーん、何というか、みなさん表街道の人たちって感じですね(笑)

聴きながら、「裏街道のジャズメンで同じような企画やるなら誰がいいだろう」とか考えてました。纐纈つながりで纐纈雅代さん、新鋭の若手ってことで小埜涼子さんあたりでしょうか。ホスト役は吉田隆一さんで・・・って妄想してましたが、これって思いっきり吉田さん主催の「SAXの変な音」ってイベントでできそうですね。

 

「(体力的にキツいので)ただ軽いっていう理由でアルトに転向しようかな」と嘯く菊地さん。昔の菊地さんのテナープレイが好きな私としては、冗談とは分かっていても複雑な気持ちに。大友良英さんや早坂紗知さんのバンドでのプレイは本当にすごいと思うんですが・・・。菊地さんに関しては色んな思いがあるので、また別の機会にまとめて書こうかなと思います。

 

番組全体を通して「女子が(今の日本で)ジャズをやること」に関して語られたことが興味深かったですね。市原さんや纐纈さんは「自分は女性だから他の人より多くアルバムを出させてもらってると思う」というようなことを言ってました。菊地さんは「アイドル売りじゃない」と紹介してましたが、纐纈歩美さんは思いっきりアイドル売りされてるんじゃないですかね?本人がそういう売り出され方を望んでいるかどうかは別として、あの顔どアップのジャケはオッサン需要狙ってるでしょう。

Struttin’

Struttin’

本人たちが真摯に音楽をやりたいと思っていても、受け手の側はいまだに「女性」というフィルターをかけて受け取っているということなんだと思います。ジャズに限らず表現行為一般が、その表現の周りにある「物語」と切り離して受け取られることは少ないでしょうし、それは仕方ないことなのかもしれません。晩年のチェット・ベイカーの演奏が泣けるのは、チェットのたどった人生についての「物語」を知っているからであって、まったく知らない人が聴いたら「何このフガフガ言ってるおじいさん」としか思わないかもしれない。

ラヴ・ソング

ラヴ・ソング

 

「女性」であることを武器やギミックとしていくのか、あるいはそれらをまったく無視して、好きなように表現することを目指すのか。メジャーなシーンでやっていこうとする女子ジャズメンは、そういった選択を迫られるという重荷を負わされているような気がします。個人的にはメジャー路線のジャズにはほとんど興味がないんですが、まあ大変そうだなと。