たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

Carla Bley & Steve Swallow "Duets"

最近よく聴く旧譜。

 

Duets

Duets

購入したのは1~2年前なのですが、最近またよく聴いています。それにはちょっとした経緯が。

まず、私が2年半ほど通っているジャズ喫茶のマスターと、「最近アート・ファーマーが好き」という話で意見が一致。特に「ブルースをそっと歌って」がお気に入りということで意気投合しました。そのアルバムの表題曲の作者であるカーラ・ブレイについて、「フュージョンっぽいのとかはイマイチだけど、かなり面白い人だと思う」という話になり、マスターがこの「Duets」は持っていないということだったので、私が自宅のCDラックからひっぱり出してきてお店でかけてもらったところ、マスターにも奥様にも気に入ってもらえました。

そんなこんなで改めて聴いたところ、またヘビーローテーションで聴くようになったわけです。このアルバムの「Utvikilingssang」や「Soon I will Be Done With The Troubles Of This World」は、渋谷毅オーケストラが取り上げていて、私は特に「Soon...」が大好きです。元は黒人霊歌で、合唱曲用に編曲されたものや、マへリア・ジャクソンが歌ったバージョンが有名ですね。


Soon Ah Will Be Done- The Master's College Chorale

 合唱曲版。


Trouble Of The World-Mahalia Jackson

マへリア・ジャクソン版。

 

「私はこの世界の苦しみから解放されて、もうすぐ神の許に行くだろう」という黒人奴隷の歌で、上記2バージョンはかなり暗い アレンジになっています。しかし、カーラ・ブレイ版にはあまり暗さがなく、むしろ感動的にすら聴こえます。歌詞の意味を知っていると、深いところで悲しみも表現されているのかなと思いますが、私には「解放される」ということの希望を歌い上げているようにも感じられて、そこがかなりグッとくるのです。

生きていて辛いこと、苦しいことはたくさんあります。毎日笑って過ごせるわけではありません。それどころか、私のようなネガティブ人間はふさぎ込むことの方が多いかもしれない。それでも、何とか生きていかざるを得ない。そうした人間の生そのものが"Trouble of This World"なのかもしれません。しかし、私が死ぬのはいつか分からない。明日かもしれないし、70年生きるかもしれない。それはいずれにせよ"Soon"なのではないでしょうか。嫌なことがあった日なんかに、そんなことを考えながらこの曲を聴いていると、「束の間の人生、精一杯生きてやろうじゃないか」と思うのです。これはかなり主観的で、独断と偏見に満ちた聴き方ですが。