大谷能生『ジャズと自由は手を取って(地獄に)行く』
ジャズと自由に、地獄の底まで付いていきたい。
- 作者: 大谷能生
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2013/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっと臨時収入があったので、本屋で散財。いくつか購入したうちの一冊がこれ。大谷能生さんが過去に色んな媒体(雑誌、新聞、ウェブサイトなど)に発表した評論、エッセイ、ライナーノーツ、書評などなどをまとめたものです。第1章の約30ページは書き下ろし。
期待通り、やはり相当に面白いです。文章の背後に見え隠れする知識、トリビア、教養の総量が恐ろしい。菊地成孔さんが「大谷くんの面白さを本当に理解できるのは俺くらいしかいない」みたいなことをラジオで言っていたと思いますが、確かにこれだけ広い守備範囲に完全に付いて行けるって人はそうそういないのではないでしょうか(私も全然カバーできません)。
クリント・イーストウッド、セルジュ・ゲンスブール、菊地成孔などの作家論も興味深かったのですが、「さすが」と唸ったのは、書き下ろし部分。ジャズとヒップホップの関係について、これほど「正しく」記述した文章を他に知りません。もちろん、内容が客観的に「正しい」ものなんて存在しないだろうと思いますが、大谷さんの文章は、演奏家の視点も含みつつ、ジャズとヒップホップ両方についての深い知見と愛に基づいていて、記述の仕方として圧倒的に「正しい」と思うのです(某ジャズ評論家のヒップホップ論と違って)。
大半が過去に発表された文章ですが(私もいくつかは読んだことがありました)、サクッと読めて、なおかつ内容的には盛りだくさんで、おススメです。
- アーティスト: Bill Evans,Scott LaFaro
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 2006/11/23
- メディア: CD
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この本を読んでいて聴きたくなったのがビル・エヴァンス。久し振りにこのアルバムを引っ張り出して聴いたのですが、やはり素晴らしい。エヴァンスはジャズを聴き始めたころに一通り有名作を聴いた後、いっぱしのジャズファンを気取り始めた辺りで「エヴァンスなんて女子供の聴くもんだ」とか思ってしまって(まあ中二病的発想ですね)、あまり聴かなくなりました。その後、「この人ただのお洒落ピアニストじゃなくて、相当イカれてるんじゃ・・・」と思うようになるわけなんですが。他に聴きたいものがたくさんあるので、なかなかエヴァンスを聴き直す機会はないけれど、たまに聴くとすごくいいです。