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たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

blacksheep CD『∞ ―メビウス―』発売記念ライブ

ライブ 吉田隆一

「ん~メビウス!!」の汎用性は異常。

 

2013年8月18日 blacksheep CD『∞ ―メビウス―』発売記念ライブ@ピットイン

吉田隆一(Bs)、スガダイロー(P)、後藤篤(Tb)、ノイズ中村(司会)、DJまほうつかい(P)、eetee(VJ)、二代目羊子ちゃん

 

SFジャズトリオ、blacksheepの3rdアルバムのレコ発に行ってまいりました。1st、2ndともに傑作だったので、大いに期待に胸を膨らませて(実は七針での広瀬淳二・林栄一、ftarriでの江崎將史・古池寿浩・高岡大祐も同日に行われていて、どれに行こうか迷ったのですが)。

1部はblacksheepで4曲演奏。1st、2ndに収録されている「切り取られた空と回転する断片」「星の明かりは彼女の耳を照らす」で始まり、毎度ながら後藤篤さんの音色と音量コントロールの巧みさなどに惚れ惚れさせられていると、3・4曲目は新譜から、「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」と「屍者の帝国」。前者は映画『惑星ソラリス』で使用されていることでも有名なバッハの曲ですね。後者は伊藤計劃×円城塔の同名小説に捧げられた、ある種のコラージュ、サンプリングのような要素を含んだ曲。ソラリスの海、もしくはフリージャズによって再生された屍者(スパイ、魔法少女、怪獣etc.)の饗宴・暴走といった趣で、とても気持ち良い。

2部はDJまほうつかいのピアノ演奏と、新譜のジャケットから飛び出してきたようなルックスの女性(二代目羊子ちゃん)がステージ上をうろうろしたり、座ったりといったパフォーマンス(?)にVJというセット。後半2曲は吉田ターミネーター隆一のバリトンサックスも参加。短めでキレイなメロディーがループする曲が続き、ちょっとクールダウン。

3部はノイズ中村氏の熟練のテクニックによる物販PRと茶番劇で幕開け。ともするとただの「痛い人」になりかねないと思うのですが、色々と突き抜けているので「これで正解」と思わせる説得力に満ちています。さすがです。演奏は新譜からの「SLAN」と「J.G.バラード組曲」、最後は1st収録の「すべて世は事も無し」で締め。

アンコールは新譜の特典CD収録の「魔白き翼、誕生」。DJまほうつかいらの盆踊り、「翼をください」を熱唱するターミネーター。恐ろしいほどのカオスと謎の大団円感。そして最終的に吉田さんは二次元の世界へと飛び立っていきました・・・。

 

ここまで書いてきて、自分でも何がなんだかという感じになってしまいましたが、私は昨夜目にしたものをそのまま記述しているだけなので悪しからず(笑)。合間合間に挟まれる茶番劇(?)ときわめて真摯な演奏とのギャップにくらくらして、デヴィッド・リンチの映画を観ているような感覚に包まれていました。自分が見ているものが現実なのか虚構なのか曖昧な感じというか。(そういえば最後の謎の大団円も、リンチの「インランド・エンパイア」のラスト、ニーナ・シモンSinnermanと共に押し寄せるカタルシスを想起させないこともないかも。)

改めて振り返ると、「異次元」ということが重要なキーであるような気がします。blacksheepのコンセプトであるSFもフリージャズも、ワケが分からないもの、自分の中にないもの、どこか「外側」にあるもの(outward bound)を見たい、聴きたい、体験したいという欲求を満たしてくれるものなのではないでしょうか。そういった意味で、私がたとえばドルフィーに感じているような「異次元感」を、blacksheepはまた別の形で示してくれているように思います。

 

あれ、何だかんだでぐるっと回って話がまとまってきた? ん~メビウス!!

 

 

∞-メビウス-

∞-メビウス-

まだ聴き込んではいませんが、傑作と言って良いでしょう。デラックスボックスに付属する特典CDの、大人が真面目にふざけている感じも素晴らしい。