たぶん思ったことあんまりまちがってない

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セシル・テイラー&田中泯@草月ホール

何とも複雑な感情が入り混じっているのですが、行って良かったというのは間違いないかと。

 

2013年11月17日(日)セシル・テイラー田中泯@草月ホール

セシル・テイラー(ピアノ)、田中泯(オドリ)

 

生セシル、行ってまいりました。初めて行った草月ホール、やっぱりと言うべきか、普段行っているフリージャズや即興演奏のライブとは客層がだいぶ違う(ブルジョア感・文化人っぽさがある人多し。著名なミュージシャンやジャズ評論家も多数)ことにドギマギしてしまったし、会場受付がけっこう混乱していて不安もあったのですが、演奏はちゃんと時間通りに始まりました。

第1部はやや薄暗い状態から始まって、セシルがゆっくりと妙な動きをしながら15分くらいかけてピアノに近づいていき、しばらくボイスパフォーマンスのようなことをした後に、ようやくピアノを弾き始めました。照明がだんだん明るくなっていき、田中泯のオドリとセシルのピアノも白熱していきます。50分くらいたったところで照明が徐々に落ちていき、田中泯は舞台からフェードアウト。本来はそのタイミングでセシルの演奏も終わる予定だったのだろうと思うのですが、照明が完全に落ちて真っ暗になってもセシルは弾き続けていました。しばらく経ったところで田中泯がピアノに近づいていってセシルの演奏も終了。田中泯がセシルの肩を優しく支えつつ、拍手のうちに2人は退場していきました。

第2部は最初から明るい状態で50分くらい演奏・オドリを披露。田中泯が感謝の意などを述べ、セシルも短く挨拶(何を言っているかは聴き取れませんでした)して終了。

 

率直に言って、見た目のみならず演奏面においても「老い」を感じさせる部分が多々あったのは否めないと思います。もっと切れ味の鋭い演奏を期待していたのですが、特に2部では起伏が少なくてやや単調だったり、散漫に聴こえてしまう場面もありました。

しかし、思いがけずセシルのピアノは叙情的で美しく感じられたし、1部の後半などは「ここしかない」と言うポイントにきわめて的確に音が紡がれていき、田中泯のオドリの強烈な存在感とあいまって(うまく説明できないのですが、田中泯のオドリはものすごく柔らかく、かつ”存在感”をはっきりと表しているように思いました。セシルの音と独立しているようでいて、同時にシンクロしていると思わせる不思議さ)、すさまじい高揚感を味わった瞬間も。

 

ぶっちゃけて言ってしまえば、普段行っているライブの方がもっとどうしようもないほどの感動を覚えることがあるのですが(東京の日々のライブイベントの充実度は相当だと思います)、それでもやっぱり今日のは特別な体験でしたし、セシルは老いてもなおセシルということを感じられたのは嬉しかったかな。田中泯のオドリも、期待を遥かに越えて素晴らしかったです。…実は田中泯とのセッションより純粋なソロ演奏かトニー・オクスレーとのデュオが見たかったというのは内緒ですが。

 

 

 

≪関連動画≫


Cecil Taylor & Tony Oxley - YouTube

こういうのも見てみたかったのです。

 


Derek Bailey & Min Tanaka - YouTube

今日の田中泯は純粋に超かっこよかったです。