Ray Anderson 他 /Slideride
トロンボーン・サミット。
Ray Anderson, Craig Harris, George Lewis, Gary Valente(Tb)
トロンボーン奏者4人のアンサンブルです。くせ者揃いのメンツに惹かれて購入。
まずレイ・アンダーソン。ファンク、ニューオリンズからフリーまで幅広くやる人で、かなり好きなミュージシャンの1人です。小編成のブラスバンド(Pocket Brass Band)やトリオ(BassDrumBone)、チューバのボブ・スチュアートとのデュオなどなど、多様なグループで活躍しています。ヘイデンのLiberation Music Oechestraでの演奏も印象深く、音色がたまらなく好きです。
比較的最近の演奏。このグループはcleanfeedから何枚かアルバムを出しています。
クレイグ・ハリスはデヴィッド・マレイと長く一緒にやってきた人で、サン・ラ・アーケストラ出身。ヘンリー・スレッギルやセシル・テイラーとも共演していて、個人的にはフリーの人というイメージが強いですが、作曲やアレンジの才もある人だと思います。
WSQのジミヘン集に参加しています。うーむ、これは素晴らしい。
ジョージ・ルイスは、この4人の中でもっとも前衛的な活動をしてきた人と言えるでしょう。シカゴAACM出身でロスコー・ミッチェルやアンソニー・ブラクストンと共演。ICPやGlobe Unityといったフリージャズオーケストラにも参加しています。デレク・ベイリー、ジョン・ゾーンとのトリオなんていうのも。
Yankees - Derek Bailey / George Lewis / John Zorn ...
久々に聴きましたが怪作。面白いけど、集中して聴くと疲れます(笑)。
最後、ゲイリー・ヴァレンテのことは正直あまり知らないのですが、カーラ・ブレイとよくやっている人という印象があります。
Gary Valente trombone with Carla Bley Hallelujah ...
一番有名なのがたぶんこれ。大々的にフィーチャーされています。
こんな4人のトロンボーン・アンサンブルですから、さぞかし変態チックなものになるだろうと思いきや、意外とまとも。なかなかイイ感じです。全11曲中、Lotus Blossomなどエリントンのレパートリーを3曲やっていて、それ以外はメンバーのオリジナルです。しっかり構築された楽曲群は、初期WSQ風のものやスウィング感溢れるものなどヴァリエーション豊か。私の耳ではどれが誰だか全部は聞き分けできませんが、それぞれが特殊奏法も含むアクの強いプレイをしていて楽しいです。7曲目、クレイグ・ハリスのShadow Catchersという曲は、テーマもソロも素晴らしくカッコイイ。
こういうフリー系(?)の金管楽器のプレイヤーって、楽器の特性を活かしてノイジーな成分をコントロールするのが巧みで非常に面白いです。ただストレートに”キレイ”な音を並べられるより、こういうものの方が脳の色んなところをくすぐられる感じがして好きなんですよね。このアルバムはフリー成分少な目ですが、いずれ劣らぬ猛者たちが高度なテクニックを駆使して多種多様な音を聴かせてくれるので、そういうのが好きな方はぜひ。Amazonではアホみたいな値段が付いていますが、ユニオンなどの中古レコ屋に出ていれば普通の値段で買えると思います。