たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

Gil Evans, Lee Konitz / Heroes & Anti Heroes

ずっと探していた盤をやっと入手。

 

Heroes

Heroes

 

 

Anti Heroes

Anti Heroes

 

 

ギル・エヴァンスリー・コニッツのデュオ作を入手しました。管楽器、特にサックスと何かのデュオという編成が大好きで、ゲッツとケニー・バロンの『People Time』、コニッツとレッド・ミッチェルの『I Concentrate On You』ヴァンダーマークとニルセン・ラブの一連のデュオ作、ジョン・ブッチャーの諸作、吉田隆一&石田幹雄『霞』などなど、好きなものを挙げはじめるとキリがないのですが、その中でも特に好きなのが、ギル・エヴァンスとスティーブ・レイシーの『パリ・ブルース』なのです。

 


Gil Evans | Steve Lacy - Reincarnation of a ...

ピアニストとしてのギルの素晴らしさをこれで知りました。バッキングのセンスが尋常じゃないと思います。ミンガス曲が多めの選曲もツボ。

 

今回買ったのはそんなギルとコニッツのデュオ。だいぶ前に一度ジャズ喫茶で聴かせてもらったことがあり、それ以来CD屋に行く度にチェックしていたのですが、つい先日にようやく常識的な価格で買うことができました。1980年のライブ録音で、ミンガス、エリントン、スタンダードからジョビンやショパンまで、なかなかいい感じの選曲。

 

この曲はコニッツがよく演奏している印象がありますね。 

 

正直に告白すると、普段コニッツはそんなに頻繁に聴いていません。前述のレッド・ミッチェルとのデュオやエルヴィン入りの『Motion』ジェリー・マリガンとの共演作などは好きですが、あの独特な音色のせいか、ただ漫然と聴いていてると流れていってしまうような印象があります。誰かが「蝶が舞うような演奏」と書いているのを見た記憶があるのですが、真剣に聴いていないとどこかに飛んでいってしまうと言うか。たまにじっくり聴くと「すごいなあ」と思うのですが…。

で、このギルとのデュオですが、2枚あって収録曲が多いので、ずっと通しで聴くとダレてしまう部分もあります。それでもやはり素晴らしい。きわめてありきたりな表現ですが、ギルの演奏は「間」の活かし方が絶妙だと思います。セロニアス・モンクカーラ・ブレイ渋谷毅といった敬愛するピアニストたちに共通するものがあるような。それに淡々と、かつしっかりと応えていくコニッツも見事です。

個人的にどちらが好きかと聞かれれば、『パリ・ブルース』の方に軍配が上がってしまいますが、こちらも傑作と言って良いでしょう。地味に長く聴き続けていくと思います。