たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

Muhal Richard Abrams / Sightsong

こういうものが二束三文で手に入ってしまうところが、レコード旧譜収集の楽しさだと思います。

 

Sightsong

Sightsong

 

Muhal Richard Abrams(P), Malachi Favors(B, miscellaneous perc., Vo) 

 

1976年にBlack Saintから出たリチャード・エイブラムスマラカイ・フェイヴァースのデュオを入手しました。A面4曲、B面3曲の計7曲で、1曲はマラカイ・フェイヴァース、残りはリチャード・エイブラムスの作曲。

特に事前情報もなく、ユニオンでたまたま手に取ったのですが、これはもうなんと言いますか、有り体に言えば「名盤」ですね。エイブラムスもイイのですが、マラカイが素晴らしすぎる。実に自由で、生々しくて、これはしびれます。

いかにも70年代フリーというドシャメシャ感のある曲は最終曲(AACMに捧げられています)のみで、しっとりと聴かせる美しい曲も多いですね。A面4曲目には、チコ・フリーマン『Beyond the Rain』にも収録されている名曲「Two Over One」が。そして、A面の1曲目と2曲目はそれぞれウィルバー・ウェアジョニー・グリフィンに捧げられていて、最初は何でだろうと思ったのですが、ググってみたら2人ともシカゴ出身でした。なるほど。

やはりこの辺りのシカゴ勢、イイ作品がたくさんありますね。CD化されていないものも多く(この『Sightsong』は2010年にCD化されているみたいです)、ジャズ・メディアや評論の類に取り上げられることもあまりないと思いますが…。リチャード・エイブラムスはジェイソン・モランヴィジェイ・アイヤーといった昨今の人気ピアニストに多大な影響を与えていますので、もしかして再評価の機運が高まったりしているんでしょうか。

 

 


Muhal Richard Abrams and Malachi Favors ...

アルバム丸上げというのはどうかと思いますが、音質がひどいので試聴音源ということで。

 

 


Chico Freeman - Two Over One - YouTube

すごくかっちょいい。ドラムがエルヴィンというのも◎。最近の活動にはどうにも興味を持てないのですが、この時期のチコ・フリーマンは好きです。

 

 

[1月8日追記]

ジャズ評論家の柳樂光隆さんツイッターで、①この辺りは悠雅彦さんらが積極的に紹介してきた、②最近でもこの辺のシカゴのジャズを大事にしている評論家は多い(自身もジェイソン・モランの紹介の際にエイブラムスの名前を出したetc.)といった感じで、拙ブログに言及してくださいました。感謝です。

①の指摘については、おっしゃる通りです。正直に言って悠さんの評論やライナーノーツにはピンと来ないところもあるのですが、レーベル運営等を積極的に行ってきたことはリスペクトしています。

また、そう取られても仕方ない書き方になってしまっていますが、「いまのジャズ評論の怠慢」を責めたかったわけではなく、私の本意は「この辺のものがもっとCD化されて、いつでも気軽に手に入るようになれば良いのにな」というところにあります。アイヤーやモランといった昨今の人気ミュージシャンの活動を通して注目が集まれば、もしかして……と。まあ商業的には厳しそうですが。