Steve Lehman Octet / Mise en Abîme
うーむ、やはりこれは……すごいです。
Steve Lehman(As, Live Electronics), Jonathan Finlayson(Tp), Mark Shim(Ts), Tim Albright(Tb), Chris Dingman(Vib), Jose Davila(Tuba), Drew Gress(B), Tyshawn Sorey(Dr)
今更ながら、昨年出たスティーヴ・リーマン・オクテットの新譜を聴きました。米ラジオ局NPRの批評家投票で1位を獲得するなど、各所で年間ベストに挙げられた話題作です。
…が、なんとなく後回しにしてしまっていました。というのも、スティーヴ・リーマンはドルフィーの匂いを感じさせるところが気に入っていて、かなり好きなミュージシャンではあるんですが、オクテットの作品はどうにも「完成度」が高すぎるような気がしていて。「よく練り上げられたサウンドで素晴らしいけど、カモフラージュ・トリオで聴けるような爆発力には欠けるかな…」とか思ったりしちゃったりしていたのです。
で、つい先日になってようやく本作を入手したわけですが、いやはやまいりました。超カッコイイじゃないですか。緻密に計算されたアンサンブルからリーマンのアルトが立ち上ってくるところはゾクゾクします。時にアグレッシブに攻めるタイショーン・ソーリーのドラムがかなり効いているし、リーマンの手によるエレクトロニクスも効果的。これは色んな人が絶賛するのも納得です。
私個人の好みとしては、 きっちりしすぎているものよりも、ある種の「粗」や「ほつれ」、ちょっとした異物感が混じっているものの方が好きというのは変わらないのですが、そんな私が聴いてもこれはカッコイイと思いました。そもそも、改めてオクテットの前作『Travail, Transformation and Flow』を聴き直したら、こちらもイイなと思ったので、私の耳が節穴(?)だっただけのような気もしますが…。
Steve Lehman Octet -- Mise en Abîme Preview - YouTube
≪スティーヴ・リーマン関連作≫
これはすごいですよ。フェローン・アクラフ、マーク・ドレッサーという猛者2人を相手にして一歩も引いていません。
これを機に手元のスティーヴ・リーマン(参加)作を聴き返してみたのですが、曲、編成、プレイなどなどを総合すると、今のところこれが一番好みかな。まあ未聴の作品もかなりあるんですが。
Travail Transformation & Flow (Dig)
- アーティスト: Steve Lehman
- 出版社/メーカー: Pi Recordings
- 発売日: 2009/06/09
- メディア: CD
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オクテット前作。これもなかなか。
リーマンの経歴はちょっと面白くて、彼の公式HPには、アンソニー・ブラクストンやアルヴィン・ルシエに師事して学士・修士号(作曲科)を取得し、ジョージ・ルイス、トリスタン・ミュライユの下で学んでコロンビア大から博士号をもらったと書いてあるんですが、「ハート音楽院でジャッキー・マクリーンと共に活動」なんていう記述も。