たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

ダウトミュージック10周年記念祭り・夜の部

10周年を祝うにふさわしいお祭り感。

 

 

2015年10月12日(月)ダウトミュージック10周年記念祭り・夜の部
JAZZ非常階段 feat. 梅津和時菊地成孔、テンテンコ

 


ダウトミュージック10周年記念祭り、夜の部も観てきました。昼の部が終わったのが16時30分過ぎくらいだったかな。喫茶店でブログを更新し、軽くメシを食い、ディスクユニオン等をぶらついて時間をつぶして、20時からようやく待ちに待ったJAZZ非常階段がスタートしました。
JAZZ非常階段はこれまで二度(勝井祐二さんがゲストの回と、大友良英さん&山本精一さんがゲストの回)観ていますが、今回は何と菊地成孔さん&梅津和時さんが参加するということで、めちゃくちゃ楽しみにしてました。


1部は色々組み合わせを変えてのセッションでした。組み合わせと出演順は以下の通り。

 

菊地成孔(As)、JOJO広重(Gt)、岡野太(Dr)
梅津和時(As)、JUNKO(Vo)
③T.美川(Electronics)、テンテンコ(Electronics)
菊地成孔(Rap、As)、T.美川(Electronics)、JUNKO(Vo)
菊地成孔(As)、JOJO広重(Gt)
梅津和時(As)、テンテンコ(Electronics)
梅津和時(As)、岡野太(Dr)

 

期待していた菊地さんの演奏、見せ方(魅せ方)の上手さが「さすが」の一言。④で非常階段の2人のノイズにラップ(最近よくやってるフリースタイルというか「Catch22」の引用などなど)を乗せたのはまあ予想通りだったのですが、⑤のJOJO広重さんとのデュオで「いかにもジャズのアドリブっぽい」フレーズを淡々と吹いたのには驚かされました。どうにも口で説明しづらいのですが、それに対するJOJOさんの対応も面白くて、あそこだけ「ジャズでもノイズでもない何か」が生まれていたように思います。普段の発言や作品の提示の仕方から、菊地成孔なにをやっててもパロディに見えちゃう問題」があると思っていて、あの場面もジャズをやっているというよりは、「あえてジャズっぽく見えるようにやっている」ように感じました。アグレッシブに高速で吹きまくる場面も多かった(超かっこよかった)んですが、それもラウンジリザーズ風に言うならば「フェイク・フリージャズ」みたいに見えてきたり。実を言うと、菊地さんのああいうポストモダン感というか、ある種の"器用さ"みたいなものは割と苦手だったりします。しかし、今回はそれが企画とうまいこと噛み合っていたのか、素直に楽しむことができました。

梅津さんのアルトもいつもながら切れ味鋭く、飛び道具的な特殊奏法(朝顔を太ももに押し当てたり、口にリードをくわえて指でビヨンビヨンと鳴らしながら吹いたり)も織り交ぜつつ、明るく爽やかに暴れまわっていて最高でした。②ではJUNKOさんの金切声と見事に溶け合っていて面白かったし、⑦の岡野太さんとのデュオなんてかっこよくないわけがないでしょう。客席が一番盛り上がったのも⑦だったと思います。

個人的に楽しめなかったのは、テンテンコさんの演奏。③も⑥も、シンプルなビートを延々ループさせてちょっとずつイジりながら、その上にノイズを重ねていくといったものでした。これは持論と言うか趣味の問題かもしれませんが、「ボトムのしっかりしすぎているノイズは面白くない」のではないかと。カオスの中から聴き手が色んなものを見出せるのがノイズの面白さだと思っていて、一定のリズムパターンのまま通されると、ノイズ成分が色付け程度にしか見えなくなってしまうことがありまして…(初音階段やBiS階段のような「うたものノイズ」に興味を持てないのも、そこに原因があるような気がしています)。

 


2部は例のごとく全員のセッションで、ぐちゃぐちゃな誰が何をやっているのかほとんど分からない状態に突入。こうなってしまうと耳もやられて展開も何も聴き取れないんですが、その中では岡野さんのドラムの存在感が際立っていました。長尺の演奏で聴き手も疲れてきた後半に、髪を振り乱しながら鬼のように乱打していたのが激アツ。梅津・菊地・JOJOというベテラン3人のステージングも見事。菊地さんが吹きまくっているところに梅津さんがやおら近づき、2人で同じマイクに向かって猛然と吹き始めると、それを見たJOJOさんがすぐさま2人の後ろに!冷静に考えると小柄な中年男性が3人並んでいるだけとも言えるんですが(笑)、あの図はやっぱりかっこよかった。

 

 

昼夜2公演観たらさすがに疲れてしまって、昨日は帰宅してすぐ寝てしまいましたが、しかし楽しい祭りでした。信頼と安心のダウトミュージック、今後も面白い音源を出し続けてくれることを期待しています。祝10周年!

 

 

 

<おまけ・ダウトミュージックの愛聴盤5選>

Undine

Undine

 

 一押しはこれ。アイディアの面白さが目をひきますが、サックス奏者としての実力も折り紙付き。

 

 

the elements

the elements

 

 サックスのヤバい音の見本市のような作品。圧倒されます。

 

 

2

2

 

 blacksheepの1stと2ndもダウトから。どちらも傑作です。

 

 

ONJO

ONJO

 

 ダウトと言えば大友良英作品。アイラーやオーネット、ドルフィーのカバー集も面白いです。

 

 

dj sniff、ダウトミュージックを斬る。

dj sniff、ダウトミュージックを斬る。

 

これ単体で面白いんですが、 ダウトミュージック作品のサンプルとしても使えちゃいます。

 

 

改めてカタログを見返してみると、持っているのは半分くらいでした。まだ入手できていないものの中にも面白そうなものがたくさんあるので、ちょこちょこ集めていきたいなと思ってます。