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たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

2015年ベスト

年間ベスト

今年も1年を締めくくる儀式として、年間ベストをまとめておきたいと思います。ルールは1つだけ、「リーダー被りなし」。他は特に縛りもなく、順位も決めません。「今年はこれよく聴いたな」と思ったものを適当にあげます。アルバム名のところに試聴用の音源・動画等のリンクを貼りますので、興味をひかれた方はぜひ(ちょうど良い音源を見つけられなかったのもありますが…)。

 

 

①Jack Dejohnnette / Made in Chicago

Made in Chicago

Made in Chicago

 

 2015年は、AACM50周年という記念すべき年でした。そんな中、「AACMは死んでない!」ということをハッキリ示してくれた老人たちに心からの拍手を。このアルバムのロスコー・ミッチェル、最高です。

 

 

②Matana Roberts / Coin Coin Chapter Three: River  Run Thee

Coin Coin Chapter Three: River

Coin Coin Chapter Three: River

 

当ブログがプッシュし続けているMatana Roberts、2015年もやってくれました。全12章を予定しているCoin Coinプロジェクト、毎回スタイルを変え、聴き手を驚かせてくれます。今のところ2章が1番好きというのは変わらないのですが、これもなかなかにとんでもない作品で、余裕の年間ベスト入りです。

 

 

③小埜涼子 / Alternate Flash Heads

Alternate Flash Heads

Alternate Flash Heads

 

ブログでは取り上げそびれましたが、今年も小埜涼子さんの演奏・作品はよく聴きました。キレッキレのアルトに爆音ドラム、全99曲で30分たらずという凄まじい作品。ランダム再生で毎回表情を変えるというアイディアも面白いんですが、小埜さんの作品はどれもコンセプト先行にならないのが素晴らしいです。林栄一さんとの『Beyond the Dual 2』も良かった。

 

 

④吉田野乃子 / Lotus

こちらも小埜さんと同じく、フレッシュで強烈なアイディアとそれを具体化する高い演奏技術に感服。文句なしの傑作です。そういえば今年は女性サックス奏者の活躍が印象深かったですね(纐纈雅代さん、Ingrid Laubrockの新作も良かった)。

 

 

⑤blacksheep / + -Beast-

+ -Beast-

+ -Beast-

 

吉田つながりで、吉田隆一さんのblacksheep。2年前にも3rdを年間ベストに選んでますが、これもやっぱり素晴らしかった。ジャケや同梱のブックレットのクオリティも半端ない。blacksheepはリリースを重ねるごとにアルバム毎のコンセプトが明確に打ち出されるようになってきている気がします。今後の展開にも大いに期待してます。

 

 

⑥Matthew Shipp / To Duke

To Duke

To Duke

 

 管楽器の入っていないものはあまり聴かないのですが、これは久々にピアノトリオで「やられた!」と思う作品でした。エリントン・トリビュート作って掃いて捨てるほどあるわけですが、エリントンへのリスペクトを示しつつ自分の音楽をきちんと提示できているものに出会うとうれしくなりますね。エリントン・ファンに全力でオススメします。

 

 

⑦Chris Pitsiokos / Gordian Twine

Gordian Twine

Gordian Twine

 

今年はこの人の印象が鮮烈でした。90年生まれなのでまだ若いですが、とんでもない才能の持ち主。切れ味鋭いアルトが魅力で、今年聴いた彼の作品はどれも面白かったのですが、とりあえず1枚選ぶならこれかな。「フリージャズ」にまだフレッシュさを持ち込むことが可能だと言うことを示してくれました。

 

 

⑧Jim O'rourke  / Simple Songs

Simple Songs

Simple Songs

 

ピッツィオコスのアルバムをディスクユニオンの通販で買うとき、送料を無料にするための帳尻あわせで買った(5000円以上買うと送料無料)んですが、いやはや傑作でした。丁寧に作り込まれているのにシンプルで、これまでのジムさんの作品にはちょっと珍しいタイプの盛り上がりもあったり(「Hotel Blue」の高揚感!)。「何か歌ものでも聴こうかな」って気分になった時にまず手が伸びる作品でした。草月ホールの2Daysに行けなかったことが本当に悔やまれます。

 

 

⑨Virginia Gentaほか / Det Kritiske Punkt

Det Kritiske Punkt [12 inch Analog]

Det Kritiske Punkt [12 inch Analog]

 

長らく入手できていなかったVirginia Gentaのアナログ盤が手元にあるってだけでうれしいです。 ゴリゴリでバッキバキのフリージャズ/ノイズ。鈍重になっていないのがポイント高くて、私にはある種のヒーリングミュージックとして機能します。Chris Corsanoとのデュオのライブ盤が欲しいんですが、CorsanoのHPを見ると「Sold Out」になってるんですよね。デジタルで良いから再販して欲しい…。

 

 

⑩Daniel Zamir / Redemption Songs 

Redemption Songs

Redemption Songs

 

2015年、新譜・旧譜を問わず回数的にもっとも聴いた作品は、Daniel Zamirの『One』でした。前から存在は知っていて気になってたんですが、1枚も聴いたことなかったんですよね。彼の来日ライブの情報が流れた頃、id:joefreeさんとid:yoroszさんのブログ記事に背中を押されて『One』を購入。いやー、これはめっちゃくちゃ聴きました。それはもう延々と繰り返されるザミールのフレーズくらいしつこく聴きました。シンプルで美しいメロディと、どこまでも高く高く飛翔するようなソプラノが尋常じゃない中毒性で、脱法ドラッグならぬ「完全合法ドラッグ」ですね、これは。

で、当然他の作品も聴きたくなり、とりあえず新譜と旧譜をあわせて6枚買いました。Joeさんが記事を書かれていて、私もほとんど同じ感想しか浮かばなかったので自分のブログでは取り上げませんでしたが、新譜の中ではこの『Redemption Songs』が一番気に入りました。来日ライブはダウトミュージック10周年記念祭りと被ってたので行かなかったんですが、いつか生で観たいですね。

 

 

<総評>

昨年、一昨年と年間ベストは5枚に絞っていて、今年もそうしようと思っていたんですが、「これは外せない!」というのが結構あって、結果的に10枚になっちゃいました。挙げなかったものでは、Mary Halvorsonの諸作も良かったし、Ken VandermarkMars Williamsらシカゴ勢にも相変わらず魅了されっぱなしでした。内橋和久+広瀬淳二『saxophonedaxophone 』等、10周年を迎えたダウトミュージックの諸作も印象深かったです。

それと、今年は例年よりもいわゆる「コンテンポラリージャズ」を多く聴きました。自分では関心の埒外に置いていたJohn EscreetDavid Binneyをyoroszさんの勧めで聴いところ、これがなかなか良くて。そこそこジャズを聴くようになってから、「自分の好みはこういうやつ」というのが分かってきて、興味の幅が狭まってしまっていたなと反省しました。「聴いてみたらやっぱり自分の好みじゃなかった」というのはあって当然ですが、余計な先入観で入口を閉ざしてしまってはいかんなと。

各所の年間ベストでやたら取り上げられているKamasi Washington『The Epic』なんかもちゃんと購入して聴きました(話題作は一応チェックするんですが、youtubesoundcloudの試聴で満足してしまうことも多くて…)。カマシに関しては、「絶対マジメで良い人(アーサー・ブライス好きに悪い人はいません)だが、The Epicというアルバム単位では突出したところが少なく物足りない」というのが今のところの私の評価です。

その他の話題作では、Tigran Hamasyan『Mockroot』が意外と面白かったです。「メタルとかプログレ好きに人気ありそう」と思って「ティグラン・ハマシアン メタル」でググってみたらスウェーデンのバンドMeshuggahの名前が出てきて、「ああ、なるほど」と(同じくMeshuggahに強い影響を受けた日本のバンド、kamomekamomeの2ndを引っ張り出してきて懐かしい気分に浸ったりしちゃいました)。カマシが良くも悪くもまっとうに「ジャズ」をやっていたのに対し、ティグランはジャズ、メタル、民族音楽等を等価に扱ってごちゃ混ぜにした感じ。ジャズって古くから様々な音楽を取り込んできたわけですが、その多くはジャズ畑の人が他ジャンルの音楽をジャズの話法(たとえば"スウィング"。強烈にスウィングするエリントンの「くるみ割り人形」を参照)で消化するものだったのではないでしょうか。その意味で、”ジャズ目線”で見るとティグランは新世代感ありますが、本人に「ジャズミュージシャン」という意識がないのであれば、彼の音楽をジャズと括る必要はないし、括らない方が多くの人に届くような気がします。

 

…無駄に総評が長くなってしまいました。今年は新譜も旧譜も聴くのが追い付かないくらい面白いものがたくさん入手できてうれしい限りです。ほとんど備忘録として書いているこのブログに足を運んでくださったすべての方、とりわけ直接お会いしてお話ししてくださったyoroszさん、吉田隆一さんに心から感謝します。また、めでたくブログ10周年を迎えられたJoeさんにも特別な感謝を。いつも的確で、刺激的で、それでいて冗長にならないレビュー、最高です。

さて、そろそろシャワーを浴びて毎年恒例新宿ピットインの年越しライブに向かいます。宇宙一好きなバンド、渋谷毅オーケストラを聴かないと1年締めくくれませんから。このブログ、来年も細々と続けていくつもりですので、またお付き合いいただければ幸いです。

 

 


Eric Dolphy At The Five Spot - God Bless The Child

2016年もみなさんに祝福がありますように。