たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

dCprG / Franz Kafka's South Amerika

この年末年始、色んな方の年間ベストをチェックしてました。ど腐れジャズファンの自分が大いに共感したのは、いつも拝読しているJoeさんのものはもちろん、Free Jazz Collectiveの「Albums of the Year 2015」、アメリカのラジオ局NPRの批評家投票など。で、各所で挙がっていたもので「気になっていたけど買い漏らしていたやつ」をいくつか買ったのですが、そんな中の1枚がこれ。

 

 

フランツ・カフカのサウスアメリカ

フランツ・カフカのサウスアメリカ

 

菊地成孔 坪口昌恭(Keys)小田朋美(Keys. Cho)大村孝佳(Gt.)アリガス(Bass)千住宗臣(Drums)田中教順(Drums)大儀見元(Per. Cho)津上研太(Sax)高井汐人(Sax)類家心平(Trumpet)

 

 

菊地成孔さんのdCprGの最新作。旧デートコースの頃、『アイアンマウンテン報告』『構造と力』なんかは割とよく聴いてたんですが、2010年の活動再開以後は興味を失ってました。インパルスからリリースされた前作、ラジオやyoutubeで聴いてもいまいちピンと来なかったんですよね。ところが、本作がyoroszさんの年間ベスト(異常なクオリティとクオンティティ!)に入っていたのを見て、「久々に聴いてみようかな」と思って購入。
合間合間に挟まれるポエトリーリーディング的なやつには全然ノれなかったんですが、それを除けばなかなか良い感じです。昔は「あれこれ言われるほどマイルスマイルスしてないのでは?」と思ってましたが、本作には『Get Up with It』『On the Corner』を連想させられる部分もあり。オルガン「ビャー!」でブレイクするのとか気持ち良いです。

 

 

多国籍・無国籍感も増し、ますますワケが分からん音楽になってますが、キャッチーさというかエンタメ性を失わないあたりはさすが。実は新宿ピットインの年越しライブで鈴木勲セッション(スガダイロー坂田明中村達也!)に菊地さんが飛び入りするという嬉しいハプニング(50周年記念コンサートのステージ上でオマさんが菊地さんに「今度一緒にやろう」と声をかけるという伏線あり)があったんですが、そこでも菊地さんのエンターテナーっぷりには舌を巻きました。豪腕揃いのセッションで、坂田さんが「ロンリーウーマン」を吹き始めたと思ったらゴリゴリのフリーに雪崩れ込んだりして脳汁出まくりだったんですが、そんな中で菊地さんがシレっとビートルズの「エリナー・リグビー」のフレーズ(たぶん)を吹き始めた時は思わず仰け反りました。最近サックス、特にテナーを吹く機会が減ってるのは本当に惜しい。サックスのインプロヴァイザーとしてめちゃくちゃすごい人だと思ってるんですが…。 

 

 

やや脱線しましたが、今のdCprG、ライブで観たらめちゃくちゃ楽しいでしょうね。スタンディングのライブは苦手だし、まず観に行くことはないだろうと思ってましたが、死ぬまでに1回くらいは行っておいた方が良いような気がしてきてます。