たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

佐藤允彦 / Randooga - Select Live Under the Sky '90

Twitterで感想を一言にまとめるだけの方が楽になってきましたが、佐藤允彦さんのことは一度ブログに書いておこうかと。

 

 

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佐藤允彦 Randooga - Select Live Under the Sky '90

佐藤允彦(key, comp, arr), Ray Anderson (tb), Wayne Shorter, 梅津和時, 峰厚介 (sax),  土方隆行 (g), 岡沢章 (b), Alex Acuna (dr), 高田みどり, Nana Vasconcellos (perc)

 

 

昨年の新宿ピットイン50周年フェスでのソロ演奏に圧倒され、「佐藤允彦作品ってちゃんと聴いたことないけど聴いてみたいな」と思ってディスコグラフィを調べてみたんですが、あまりに膨大な量でどこから聴くか決められず…。そこでid:joefreeさんにオススメを教えてもらって何枚か買いまして(Joeさんありがとうございました!)、その中の1枚がこれ。

90年のジャズフェス、ライブ・アンダー・ザ・スカイでの演奏。89年生まれの私には肌感覚が分からないんですが、当時はまだバブってたんでしょうか。Wikipediaの同フェスの項目を見ると、恐ろしいくらいに豪華な出演陣。77年から92年までやっていたそうで、ハンコック、ショーター、マイルスにギルオケ、オーネットやWSQ、サン・ラの名前まで。当然時代を反映してフュージョン系も多数で、チック・コリアクルセイダーズ、ガッド、ブレッカー等々の名前が並んでいます。このランドゥーガにも4人の海外ミュージシャンが参加しており、いずれも大物ですが、何といってもウェイン・ショーターの名前が目を引きます。日本勢も錚々たるメンツ。

 

一部ですが動画が。CDはフルで11分収録されてます。 

 

強靭なリズムセクション、民謡的なモチーフを用いた印象的なリフの上にご覧の豪華な管。ギターやキーボードの音色に「時代を感じるなー」と思うところもありますが、それでもなおカッコイイです。ショーターや梅津和時さんも当然すごいんですが、自由に、悠々と乗りこなす峰厚介さんのテナーが好きすぎる。ナナ・ヴァスコンセロスのボイスが加える謎エキゾ感も面白い。

民謡モチーフを取り入れたジャズって散々やりつくされている感もあって、(この言葉は好きではありませんが)いわゆる「和ジャズ」であるとか、有名どころだと秋吉敏子さん、最近では大友良英さんが盆踊りをやっていたり、板橋文夫オーケストラが民謡ユニット「結」と共演していたり。

 


金子友紀・「結 - yui 」 + 板オーケストラ - 相馬盆唄

昨年ライブで2回観ました。田村夏樹さんや小山彰太さんがいた頃も素晴らしかったですが、今の板橋オケはめちゃくちゃ面白いと思います。ぜひ生で観ることをオススメします。

 

中央線ジャズでも演歌や民謡の香りを漂わせるものは多いですよね。天才アケタの傑作『わっぺ』などなど、例を挙げれば枚挙に暇がありません。そう考えると、近年のエスニックな要素を前面に押し出したジャズのブームもさほど新しい現象ではないような気がしてますが、まあ、その話はまた別の機会に。

何はともあれ、このランドゥーガのライブ盤は、私が佐藤允彦さんに対して事前にもっていたイメージを覆すようなシンプルにカッコイイものでした。というのも、これまであまり佐藤さんの作品を聴いて来なかったのは、「なんか頭良さそうで苦手」という印象a.k.a.偏見があったからで。ソロピアノ作やインプロセッションものを聴くとやはり理知的な印象を受けるんですが、ランドゥーガは頭からっぽで聴いても十分楽しめるもので、佐藤允彦という音楽家の懐は広いんだなと。本当にアホかってほど大量に作品をリリースしていて、もちろん私の好みに合わないものもありそうですが、やはり偏見を排して色々聴いてみた方が人生楽しくなりそうだよなという当たり前のことを再確認しています。

 

 


Peter Brotzmann, Masahiko Satoh & Takeo Moriyama - Yatagarasu

いま現在の私の「好み」にバシッとハマるのは、やはりこういうやーつ。こんなの最高過ぎるでしょう。PNLとのデュオなんかも面白そうだなと思ってます。