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2016年4月29日 渋谷毅オーケストラ(ゲスト:吉田美奈子)

グレート・マンネリズム。

 

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2016年4月29日(金)渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン

渋谷毅(P, Org)、松風鉱一(As, Bs, Fl)、峰厚介(Ts)、津上研太(As, Ss)、林栄一(As)、上村勝正(B)、外山明(Dr)、石渡明廣(Gt)

スペシャルゲスト:吉田美奈子(Vo)

 

渋谷毅オーケストラのライブを観てきました。年に数回は必ずライブを観ているし、アルバムも全作所有している大好きなバンド。ピットインでは1~2ヵ月に1回くらいのペースでライブやっていたと思うんですが、最近は頻度が減っていて寂しく思っていたところ、今月は28日と29日に2Days。私はゲスト入りの2日目だけ観ることができました。

セットリストは以下の通り(メモ取ってないので記憶違いもあるかも)。

 

<1st>

Side Slip(石渡明廣)、Ballad(石渡明廣)、Three Views of a Secret(ジャコ・パストリアス)、もはやちがう町(石渡明廣)、Chelsea Bridge(ビリー・ストレイホーン)、Brother(林栄一

 

<2nd>

Jazz Me Blues(トム・ディレイニー)、30秒の奇跡(倉田信雄)、8月の永遠(渡辺香津美)、Encounter(吉田美奈子)、The Life(吉田美奈子)、星の海(吉田美奈子)、Everyday I Have the Blues(ピーター・チャップマン)

アンコール:Danny Boy(Trad)

 

1部はまったくもっていつもの渋オケでした。いつもの曲、いつものメンツ、いつものアレンジ。曲順だけは渋谷さんがその場で決めますが、それもいつものこと。あいさつもなくぬるっと「Side Slip」から始まり、「ああ、これだよこれ」と一安心(?)。渋谷さんが「研太、頼むね」とぼそっと言ってから始まった「Three Views of a Secret」での津上研太さんのソプラノの素晴らしさ(津上さんにはソプラノ中心のリーダー作を出してほしいと密かに思っています)。「もはやちがう町」で独特の哀愁を帯びた音を撒き散らす林栄一さん。異能集団の中でも一際異彩を放つ外山明さんのドラム。やはりこのバンド、尋常ではありません。いつ見てもだいたい同じことしかやってないのに、なんでこんなに良いのか。

そして2部、1曲目は「肩をほぐすため」といつもの「Jazz Me Blues」でしたが、2曲目から最後までゲストの吉田美奈子さんが参加。去年のピットイン50周年記念コンサートでもやったようですが、私はボーカルの入った渋オケは初めてでした。吉田美奈子さんも、名前は知っていたけど聴くのはまったく初めて。松風鉱一さんのフルートをフィーチャーした(リズムセクション以外はお休み)「30秒の奇跡」を聴いたときは、「この人、死ぬほど歌上手いけど歌い方好みじゃないな。特にビブラートの効かせ方が…ぐぬぬ…」等と思っていたのですが、2曲、3曲と聴いていくうちにグイグイ引き込まれました。ソウルフルに歌い上げる「Encounter」なんてめちゃくちゃカッコイイではありませんか。峰厚介さんら歴戦の猛者たちによる歌伴もばっちりだし、渋谷さんの手によるものと思われるアレンジも良い。

アンコールは渋谷・吉田デュオで「Danny Boy」。言わずと知れた有名曲で、ジャズメンのカバーも多くありますが、「幸い薄く見ゆる日」という題で讃美歌になっていたりもします。これがまた胸にじんわり沁みる良い演奏で。長年浅川マキさんの歌伴を務めた渋谷さんの無駄のないピアノが素晴らしかった。

渋オケの演奏で1番好きな「Soon Ah Will Be Done」と「Lotus Blossom」が聴けなかったのは残念でしたが、いつもの渋オケと新しい渋オケが聴けて大満足でした。渋オケに関してはCDよりもライブの方が圧倒的に良いと思っているので(CDも愛聴してますが)、未経験の方、「そういえばしばらく行ってないなあ」という方はぜひ。心からオススメします。

 

 

<参考動画>


渋谷毅オーケストラ 2015.12.26 大和田伝承ホール 最終曲とアンコール

 


takeshi shibuya piano solo at uramado

 

 

 

 

ずっと西荻

ずっと西荻

 

今のところの渋オケ最新作。といっても13年近く前ですが。古澤良治郎さんが亡くなって以降の録音って出てないですよね。そろそろ何か出してくれないかな…。

 

(おまけ)

Steal Away

Steal Away

 

ハンク・ジョーンズチャーリー・ヘイデンが淡々と讃美歌や黒人霊歌を演奏するだけの作品。この盤の「Danny Boy」が良いんですよ。同じデュオ作で、ハンク・ジョーンズの遺作となった『Come Sunday』も良作。