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2017年2月27日(月)MoGoToYoYo@新宿ピットイン

AEOCへの捧げもの。

 

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2017年2月27日(月)Nu Art Ensemble “MOGOTOYOYO ”plays Phase One

芳垣安洋(Ds,Per)吉田隆一(Sax,Fl)岩見継吾(B)元晴(Sax)有本羅人(Tp,B-cl)

 

ドラマー芳垣安洋さんの新バンド、MoGoToYoYoのデビューライブに行ってきました。ステージ上に所狭しと並べられたパーカッションや管楽器、演奏者の顔にはペインティング。公演タイトルに「plays Phase One」と付いており、ピットインのHPの説明文には「dedicate to Art Ensemble Of Chicago & Adama Moye!」と。アート・アンサンブル・オブ・シカゴと先日急逝してしまったアダマ・モイエ(ドン・モイエの息子)に捧げられています。

 


Art Ensemble of Chicago - Berlin Jazzfest - 1991 - Ohnedaruth

 

アート・アンサンブル・オブ・シカゴといえば、フェイスペインティングなどのインパクトある見た目が印象的。「Great Black Music, Ancient To The Future」を掲げるAACM (Association for the Advancement of Creative Musicians) の代表的なグループで、アホみたいにたくさん並べた楽器を自由奔放に使ったりしながら、民族音楽風?の演奏をするフリージャズ集団です。民族音楽に「風?」を付けたのは、部族的・呪術的な側面がある一方で、なぜか白衣を着た人が紛れ込んでいたり、普通の恰好をしている人が音楽的には一番カゲキだったりするからで、「現実世界には存在しない架空の部族の民族音楽といった趣があります。

 

それでは、このAEOCをリスペクトするというMoGoToYoYoはいったいどんな音楽を演奏したのか。メンバーそれぞれがパーカッションや各種鳴り物、良く分からないラッパや笛の類を自由に鳴らしていたかと思うと、岩見さんのベースが素朴でかっこいいフレーズを繰り返し始め、管楽器が何やらテーマを吹いたり、みんなで歌ったり、奇声を発したり。完全自由即興ではなく、即興と作曲が入り混じりながら、約2時間ノンストップで様々な展開を見せてくれました。

吉田隆一さんが謎のボイスパフォーマンス(?)をやっているのを見て、藤井郷子オケや板橋文夫オケ、渋さ知らズなどを想起させられ、改めてAEOCの後世に与えた影響の大きさを思ったりも。MoGoToYoYoはみんなちゃんと楽器が上手い人たちですし、「何が起きるか分からない」「得体が知れない」といった怪しさ成分はやや希薄でしたが、しっかりとAEOCへのリスペクトを感じさせる、愉快痛快でかっこいい音楽でした。

空気をビリビリと震わせながら鬼のように叩きまくる芳垣さんのドラムを存分に浴びることができたし、芳垣さんと縁の深いあんな曲やこんな曲もやってくれたのも、とても良かった。5月末にまた新宿ピットインでやるそうで、今後の展開も楽しみにしています。

 

 

≪参考動画≫


MoGoToYoYo / Promotion

プロモーション動画としてデビューライブ前にアップされたもの。

 


Insect House / SIGHTS(2001)

「あんな曲」。芳垣さんもメンバーだった、大原裕SIGHTS。

 


Vincent Atmicus/Smokin' with Ginger Cigarette

「こんな曲」。芳垣さんのリーダーバンド、Vincent Atmicusのバージョン。