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たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

Kamasi Washington / The Epic

マジメ感。


The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

  • アーティスト: KAMASI WASHINGTON,カマシ・ワシントン
  • 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
  • 発売日: 2015/05/16
  • メディア: CD
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今更ですが、いま流行っている(らしい)カマシ・ワシントンの新譜を聴いてみました。タワレコ等のレコ屋で大々的にプッシュされているし、「カマシ・ワシントン」でgoogle検索・twitter検索してみると、絶賛コメントの嵐。来日ライブも好評だったみたいですね。

この人の音楽を聴くのは、本作がまったくの初めてでした。確かJTNC3で紹介を読んだような気がするし、フライング・ロータスらとやっているというのは何となく認識していたのですが、Youtube等でも彼の演奏は一切聴いておらず。先日ユニオンの新譜コーナーを見ていたときに、吉田隆一さんがカマシ・ワシントンのことを「絶対全力ブロウするマン」と称していたのを思い出し、衝動的に購入してしまいました[11月18日追記:コメント欄で吉田さんが補足してくださったので、ぜひご覧ください]。

 

 

3枚組約170分の大作。とりあえず3回聴いてみました。


Kamasi Washington - 'Re Run Home' - YouTube

 

1回目「あれ?なんか期待してたものと違…あれ?」

2回目「うーん、おそらくやりたいことのベクトルは好みなんだけど、何か物足りないなあ。」

3回目「この人絶対マジメな人だわ。」

 

ざっくりと感想をまとめるとこんな感じ。「コルトレーンファラオに連なる王道のスピリチュアルジャズ」と喧伝されていて、私もそういうものだと思い込んで聴いてしまったのですが、60~70年代のブラックスピリチュアルもの(?)にあるような胡散臭さ、怪しさは皆無と言っていいのでは。確かにコーラスやストリングスが入って妙に壮大だったり、カマシのテナーがやや泥臭さを見せたりはします。でも、なんと言うか、すごく"ちゃんとしている"んですよね。サンダーキャットらのリズムセクションはすごく現代的だし、アレンジも決して適当に手を抜いたものではないでしょう。カマシのサックスも、所々でアツいソロを取ってますが、ファナティックに吠えまくるようなものではなく、ちゃんとコントロールされています(音色面でやや抜けが悪く、いまいち前に出てこないのがもどかしく感じたんですが、私の聴取環境が劣悪なせいなのか、ミックスの問題なのか。その辺ライブ行った人に聞いてみたいです)。

 

カマシへのインタビュー(by柳樂光隆さん、by原雅明さん)等を読むと、UCLAで民俗音楽と作曲を専攻したとのことで、高等教育受けてるんですよね。影響元もはっきりと公言していますし、結局本作はそれらの先達の音楽をきちんと研究して、丁寧に作り上げたマジメな力作なんだと思います。


それと、現代的なリズムセクションの上でスピリチュアルっぽいものをやるというのは、たぶんクラブジャズ界隈の人たちがずっとやってきたことではないでしょうか。柳樂さんが、「カマシはあそこまでストレートなジャズ作品なのに、ピッチフォークなどジャズ以外のメディアにも高く評価されているのもすごいですよね」と書いてますが、こういうものが保守的なジャズメディア以外で称賛されるというのはよく分かるような気がします。

 

ちなみに、今回本作のレビューや感想を色々読んでみて(めちゃくちゃいっぱいありました)一番しっくりきたのが、上記の発言を含む柳樂さんの紹介文(Mikiki掲載)でした。「ドラマティックなんだけど暑苦しくないんですよね。スピリチュアル・ジャズには、いろんなものが突出しているけど何かが欠けているといった不揃いな部分が多かったはずだけど、『The Epic』にはそういう欠けた部分が見当たらない」という指摘など、ものすごく的確。レコ屋の宣伝文句的な「ジャズの新時代」「革命児」「LA最先端」といった煽り文も山ほど見たんですが、そういうのは大半が言い過ぎですね。マジメな人が作ったマジメな作品として、ちゃんと聴いてあげるべきでしょう。

 

 

≪本文中にまとめきれなかった余談的なもの≫

こちらの記事でカマシがMy Top5の1つとしてドルフィーの『Out to Lunch』を挙げている件(ドルフィーとLA)。

・本作収録の「チェロキー」のアレンジがすごく『天才ローランド・カークの復活』っぽい件。一時期のアーチー・シェップも想起。

・ジャズでPitchforkで高得点取ったのって何があるんだろうと思って検索してみたら、メアリー・ハルヴァーソン『Meltflame』マタナ・ロバーツ『Coin Coin Chapter3』が出てきた件。
・↓「ブラックスピリチュアル」「豪快なテナー」というキーワードで連想していたものたち。

 

 


David S. Ware - Godspelized - YouTube

 


Joe McPhee - Nation Time - YouTube