たぶん思ったことあんまりまちがってない

ジャズ アルバム紹介やライブの感想など 

2018年間ベスト

2018年初の更新が年間ベストになってしまいました…。今年も順位は付けず、愛聴したものを並べておきたいと思います。海外新譜5枚、国内新譜6枚、発掘・復刻盤4枚で計15枚。タイトルをクリックするとbandcampやレーベルのサイトに飛ぶので、興味のある方はぜひ。

 

 

<海外新譜>

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Jeremiah Cymerman – Decay of the Angel

剛田武さんらにお誘いいただいて、2018年10月からウェブマガジンJazz Tokyoに寄稿を始めました。そのJazz Tokyoでのレビュー1本目に選んだのがこのアルバム。ジェレマイア・サイマーマン、もっと日本でも紹介されるべき人だと思います。電子音楽界隈の方のレビューも読んでみたいので、誰か書いてください。よろすずさんとか(…と思ってたらUntitled Medleyによろすずさんのレビューが掲載されました。嬉しい)。

 

 

 

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Peter Evans – The Veil

ついに来日してくれました、ピーター・エヴァンス。興奮のあまり4回も聴きに行ってしまった。「とにかく速くてマッチョ」という印象はこれまで音源で聴いてきた通りでしたが、マイクの使い方が巧みというのは、生で観てよりハッキリ分かったことでした。このThe Veilでもマイクのコントロールで何やらすごい音を出しています。ジョー・ヘンダーソンInner Urgeを取り上げているのには思わずニヤリとしてしまった。

 

 

 

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Okkyung Lee – Dahl​-​Tah​-​Ghi

こちらも強烈極まりないソロ演奏。オスロの美術館で行ったライブの録音とのことですが、響きの良い空間なのか、微弱な音も反響&増幅して凄まじいことになっています。チェロ1本の即興演奏でここまでのことができるのか、と素直に感動。近い時期にリリースされたCheol-Kkot-Sae [Steel Flower Bird]も面白かったですが、個人的にはこちらの方がインパクト大でした。

 

 

 

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Subtle Degrees – A Dance That Empties

これは本当によく聴きました。超気持ちいい。Jazz Tokyoの「このディスク2018(海外編)」に選んだ1枚。

 

 

 

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Marker – Roadwork 1 / Roadwork 2 / Homework 1 (3CD Box Set)

我らがケン・ヴァンダーマークの最近のプロジェクトの1つ、Markerの3枚組。ヴァンダーマークのリードに、ドラム、ギター×2、キーボード/ヴァイオリンを加えた5人編成。もう50代半ばに差しかかったヴァンダーマークですが、いまだにシカゴの若手と新しいバンドを組んで精力的に活動しているというのは、ファンとしてはとても嬉しいことで。この盤のサウンドそのものに目新しさはなく、「いつもの」という感じではあるものの、いつも通り超カッコイイので無問題。最近、国内外のジャズメディアでシカゴのミュージシャンが取り上げられることが増えてきた気がしますが(ジェフ・パーカー、マカヤ・マクレイヴン、ジェイミー・ブランチetc.)、ヴァンダーマークやマーズ・ウィリアムスもまだまだ健在です。

 

 

 

<国内新譜>

 

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鳴らした場合 – ふつえぬ

Jazz Tokyo #249にレビューを寄稿。入稿後にライブを観に行ったんですが、ライブと音源は印象が少し違って、どちらも面白かったです。1月に九州ツアーをやるらしいので、お近くの方はぜひ。

 

 

 

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堅いトリオ – 堅 KEN

Jazz Tokyo #248にレビューを寄稿。このレビューを書くにあたって家にある片山広明さんの音源を一通り聴き返したんですが、どれも素晴らしかった。Quatreなんて何度聴いても感動してしまいます。片山さんの新作がもう聴けないというのは本当に哀しい。

 

 

 

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板橋文夫オーケストラ – FUMIO 69 Rock & Ballade

現在の編成での板橋文夫オーケストラの新譜、ここ数年ずっと待ってました。田村夏樹さんや小山彰太さんが在籍していた頃から板橋オケは大好きだったけれど、いまのメンツもかなりの個性派揃いで面白いと思います。この盤の出来も期待以上で、特に纐纈雅代さんの「冬のワルツ」が素晴らしかった。片山さんと板橋さんのデュオで「Lady’s Blues」を録音してくれたのも最高。

 

 

 

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 石田幹雄時景

こちらも長らく待望していた、石田幹雄さんのソロ。Jazz Tokyoの「このディスク2018(国内編)」に選びました。

 

 

 

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廣木光一 渋谷毅Águas De Maio 五月の雨

ギタリストの廣木光一さんと、宇宙一好きなピアニスト渋谷毅さんのデュオ。1998年のSo Quietから20年の時を経て、2枚目のアルバムをリリースしてくれました。名曲Beyond The Flamesで渋谷さんのピアノに廣木さんのギターが重なる瞬間(2分過ぎ)、あまりにも美しい。John Lewis Pianoでのバリー・ガルブレイスに通じるような絶妙な入り方で、何度聴いても痺れます。

 

 

 

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牛尾憲輔girls, dance, staircase

映画『リズと青い鳥』のサウンドトラック。劇場で5回観て、パンフレットも設定資料集も買って、ブルーレイディスクも買ってしまった。映画本編が音楽劇としてこれ以上ないくらいに完成されていて、映像と一緒に聴いてこそ真価を発揮する音楽だとは思うんですが、サントラ単体でも繰り返し聴きました。作業用BGMとして垂れ流すことも多く、単純に聴いた回数だけならばこれが1番かもしれない。あやうくJazz Tokyoの「このディスク2018(国内編)」に選びかけましたが、「どう考えてもこれ“ジャズ”ではないな」と思い直して自制。Jazz Tokyoは“Jazz and Far Beyond”を掲げているので、Far Beyond枠で書いても良かったかもしれないけれど。

 

 

 

<発掘・復刻盤>

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Roscoe Mitchell, Matthew Shipp – Accelerated Projection

2005年にイタリアで行われたロスコー・ミッチェルとマシュー・シップのライブ録音。「発掘盤」ではないかもしれませんが、録音から10年以上経っているので一応この枠に入れておきました。ロスコーはやはり唯一無二の存在感がありますね。何を考えているのか分からない。そのロスコーと対峙するマシュー・シップも強い。とても強い。

 

 

 

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姜泰煥 – Live at Café Amores

「あぐらをかいて循環呼吸で吹き続ける人」こと姜泰煥の95年のライブ録音。韓国人の20年以上前の日本でのライブの音源がリトアニアのレーベルからリリースされる、という何だかよく分からない状況ですが、内容は素晴らしいです。ちなみに、このCDに収録されている演奏の映像がYouTubeにアップされています。

 


Kang Tae Hwan /姜泰煥(カン・テーファン)solo 1 '95

 

 

 

 

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David S. Ware Trio – The Balance (Vision Festival XV +)

デヴィッド・S・ウェアが亡くなってからもう6年経つわけですが、こうしてリリースを続けてくれているAUM Fidelityには感謝しかないです。足を向けて寝られない。本作は2010年のライブということで、ウェアが大病から復帰した後、亡くなる2年ほど前の時期の録音。1曲目のウェアの無伴奏ソロからの吹き伸ばしがあまりにも生々しく、切実で、初めて聴いたときは思わず涙ぐんでしまいました。

 

 

 

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Eric DolphyMusical Prophet

私がジャズ沼にずぶずぶとハマりこんでしまう原因を作った張本人、エリック・ドルフィーの発掘盤。未発表音源も入っていますが、Conversations、Iron Man、Other Aspectsに収録されている音源(の別テイク)が中心。5000円近くするし、上記3枚はどれも持っているのだから買わなくても良いかなと思っていたはずなのに、結局抗えずに買ってしまいました…。ハン・ベニンクらのインタビューなどを収録したブックレットは非常に充実しているし、音も良くなっているので、結果的には買って良かったなと。 

 

 

 

本業の忙しさを言い訳にブログを更新しないでいるうちに、気が付いたらもう年末。完全に放置してしまっていました。今後このブログをどう使っていくかは決めていないんですが、とりあえず爆破はせずに残しておこうと思います。Jazz Tokyoに書けないことなどあれば、何か書こうかなと。

開店休業状態の当ブログを訪れてくださった方々、Twitterやライブ会場でお会いした方々、素晴らしい音楽を聴かせてくれたミュージシャンの方々、ありがとうございました。来年もみなさんに祝福がありますように。

 

 


片山広明 Hiroaki Katayama Quartet - Hallelujah