いーぐる連続公演 「ESP特集 第2弾」
今回は最初から最後まで参加することができました。
2014年2月15日(土)いーぐる連続公演「ESP特集 第2弾」@四谷いーぐる
解説:須藤輝(ライター/編集者)、吉田隆一(バリトンサックス奏者)
四谷のジャズ喫茶いーぐるで行われた講演を聞いてきました。10月26日に行われた前回講演に続き、好事家垂涎のレーベル「ESP」の特集。前回掛けなかったものを聴きつつ、録音の裏事情や演奏技術の解説、ツッコミなどなどを入れていく”フリージャズ漫談”形式の講演で、小休止を挟んで3時間ちょっと、存分に堪能してきました。
前回同様にボリューム満点で講演内容の全体については紹介するのが難しいので、特に気に入った音源などを適当に貼っていきたいと思います。
恥ずかしながらこの人のことは全然知らなかったのですが、Ran Blakeというピアニストのソロ。講演でかかったのはオーネットの「ロンリー・ウーマン」で、テーマ部の独特のアレンジと間をいかした演奏がかっこよかったです。奇盤・珍盤だけでなく、こういうものも出している(しかもCD再発までしている)のがESPのすごいところ。
youtubeで適当に検索をかけたら2012年の演奏が。
- アーティスト: Milford Graves
- 出版社/メーカー: Esp Disk Ltd.
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: CD
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ミルフォードのデュオ。有名どころかもしれませんが、ちゃんと聴いたのは初めてでした。今ではさほど珍しくないフォーマットとはいえ、65年にドラムのデュオを録ったというのは先進的ですね。板橋オケでの外山明さん、小山彰太さんの関係性を例に出した吉田さんの解説も興味深かったです。
CDショップでジャケを見るたびに「怖そうだなあ」と思っていたのですが、中身はなかなか気持ち良いです。私には拍が全然分からないんですが、適当に身を委ねていると良い感じ。
この講演で一番ツボだったのがこれ。メンバーがすごいです。Allan Praskin(As)、Bert Willson(Ts)、Warren Gale(Tp)、Michael Cohen(Pf)、Bruce Cale(B)、James Zitro(Dr)。シンプルにめちゃくちゃカッコイイ。バート・ウィルソンのソロを聴いた瞬間にスマホで検索をかけ、Amazonで注文しちゃいました。届くのが楽しみ。
今回の"ゲテモノ"枠も強烈。 男性器を大きくする器具(?)の広告を読み上げるTuli Kupferbergもすさまじいインパクトでしたが、このGodzも酷すぎる。
何なのこれ・・・。いったい誰得なのか?当時売れたのか?なんでアルファベット全部はやらないのか?前作からメンバーが一人減った理由は?謎だらけです。
後半は駆け足でしたが、最後にフランク・ロウの名盤「Black Being」が掛かったのが嬉しかったですね。この盤好きなんで。ちなみに、講演終了後にいーぐるのマスター後藤さんも「愛聴盤」とおっしゃっていました。後藤さんと言えば筋金入りのハードバップマニアというイメージだったのでちょっと意外。
全体を通して思ったのは、アイラーの作品がずば抜けてクオリティが高いということでした。カタログをずらっと並べて聴いてみると、アイラーはやっぱり頭何個か抜けてるように感じますね。普段愛聴しているヴァンダーマークなんかがアイラーに捧げる作品やアイラーのカバーをたくさんやっているのも納得。
後藤さんもおっしゃっていましたが、須藤さんの偏愛っぷりと穏やかな語り口、吉田さんの素人にも面白さが伝わる技術解説、共に素晴らしかったです。実は前日に大雪の中カフカ鼾のライブを観に行って、交通機関がマヒして帰れなくなったので深夜に八甲田山よろしく吹雪の中を長時間歩いていまして、疲労困憊していたので講演に行くのをやめようかとも思ったのですが、行って良かったですね。このコンビでの講演、今後もシリーズ化されたら良いなと思っています。
ちなみに、3月1日には吉田さんのドルフィー連続講演の第1回があるそうです。須藤さんも5月頃を目処に今度は「BYG特集」をやる予定とのこと。前回の講演の感想をこのブログに書いたときに、「レーベル縛りならBYGかBlack Saintあたりの特集もやって欲しい」的なことを書いたんですが、まさか実現するとは。やっぱり同好の士、考えることは同じですね(笑)。BYGならキワモノに留まらず今聴いても面白いものがたくさんあると思いますので、楽しみにしてます。