Evan Parker, Mark Nauseef, Toma Gouband / As The Wind
風。
Evan Parker(Sax), Mark Nauseef(Metal Percussions), Toma Gouband(Litophones Percussions)
2016年10月にリリースされたエヴァン・パーカーのアルバムを聴きました。録音は2012年。こちらのブログでエヴァン自身が「過去最高傑作だ」と言っているということを知り、すぐさま購入しました。
サックスという管楽器を通過する息。金属。石。音色のせいなのか、『As The Wind』というタイトルに引っ張られているからなのか、人為的に演奏されている音楽というよりも自然に存在している音を聴いているような気分になる場面も。遠くからゆっくりとエヴァンのサックスが近づいてきたと思ったら、ダイナミクスの付け方によってある種のフレーズ感が生まれたり、金属を鳴らした残響とエヴァンが小さめの音量で吹くサックスの音が溶け合ったり、コロコロと転がるような石の響きに妙な温かみを感じたり…。フリージャズ的なハッタリやケレン味、"分かりやすいカタルシス"のようなものは見られないのですが、だからと言って穏やかにゆっくりと時が流れていくだけで終わることはありません。所々でエヴァンが強烈な音をぶち込んでくるし、3人の奏者が一体となってグイグイと進んでいくようなシーンもあって、静かに興奮させられます。
うーむ、これは確かにすごい。「エヴァンと言えば」の循環呼吸を用いた例のアレも飛び出すのですが、この盤ではパターン化しているように感じませんでした。共演者の力量(特に石演奏のToma Gouband(読めない)のセンス!)や相性の良さも大きいのだろうと思いますが、エヴァン・パーカーという音楽家の底力を見たような気がします。
≪試聴音源≫
Pipes And Whistles In His Sound
(クリックするとToma Goubandのサイトに飛びます)
≪参考動画≫
trancemap : evan parker / matt wright / toma gouband
Toma Gouband live Fri Resonans Blæst 16. november 2012
この人すごく面白い。2~3年前の来日時に観に行かなかったことを激しく後悔。