たぶん思ったことあんまりまちがってない

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菊地成孔の粋な夜電波(9月30日放送)を聴く

まさかの選曲。

2012年9月30日・菊地成孔の粋な夜電波(TBSラジオ)

前回と前々回は「女子ジャズサミット」と題する特別企画でしたが、今回はフリー回。自由にしゃべって曲をかけるスタイルでした。いつものホスト話はまあ面白かったんですが、整体(内気功?)の話は興味をそそられず、「今回はいまいちピンと来なかったなあ」と思っていたら、終盤でまさかの選曲。志人・スガダイローの「詩種」から「いざよいうた」が。

詩種

詩種

 曲終わりに慌てて訂正してましたが、「ブルーハーブっていうグループの志人」と紹介してました(笑)菊地さんの評価は、「賛否両論ある問題作だが、自分は傑作に1票入れたい」というものでした。これは完全に同意。

 

以前にも少し書きましたが、菊地さんに対しては複雑な思いがあります。

ドルフィーのファイブスポットに衝撃を受け、ジャズを本格的に聴き始めた頃、菊地さんと大谷能生さんがやっていた「水曜WANTED」という番組に出会いました。オリコンシングルチャートの曲と2人の持ってきた音源をかけ、抱腹絶倒の適当トークを繰り広げていました。「オスカー・ピーターソンのようなハッピーなピアノトリオが聴きたいです!」というリスナーのメールに、「これでもくらえ!」と言ってアイラーのユニバーサルインディアンをかけて応えたりしてましたね(笑)初めて読んだジャズ本も、菊地・大谷コンビの『東京大学のアルバートアイラー』でした。先日久しぶりに読み返しましたが、やはり名著。こんなに面白くジャズの歴史を描き出した本はちょっと他に知りません。

そんなわけで、私のジャズライフ(?)は菊地さん(と大谷さん)にかなり影響を受けてます。ただ、大谷さんの作品には好きなものが多いのですが、菊地さんのリーダー作はいまいち好みに合わないんです。テナーサックス奏者としての菊地さんは、超一流だと思います。早坂紗知さんの「1999.2.26 LIVE」の「カナビスの輪」等のソロはめちゃくちゃカッコイイ。某ジャズ喫茶の掲示板で、「話が上手くても演奏がいまいちでは・・・」といった皮肉を目にしたことがありますが、その人はBlackoutやティポグラフィカGround Zeroでのプレイを知らないのだとしか思えません。特にライブでの菊地さんのソロは圧倒的ですよ。ところが、リーダー作になると独特のフェイク感であったり、露悪趣味的なパロディ感覚なんかが鼻についてしまうんです。「南米のエリザベステイラー」の「ルぺべレスの葬儀」とか、一部に好きな曲もありますし、DCPRGなんかは結構好きなんですが・・・。ワインの話とか精神分析の話も、スノビズム全開と言った感じでちょっと馴染めません。テナーサックス奏者として、話のめちゃくちゃ面白い人としての菊地さんのことは好きなんですが、苦手な部分もたくさんあって、そういう意味で「複雑な気持ち」を抱いているわけです。

粋な夜電波も、何となく聴き続けています。また大谷さんとのコンビで適当トークしてほしいなあと思ってますが。近田春夫さんがゲストの回なんかは面白かったし、先日の女子ジャズサミットも興味深かったので、また折に触れて夜電波の感想も書くかもしれません。

 

名著です。「キーワード編」も素晴らしい。大友良英さんがゲストの回がお気に入りです。

steppers +

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大谷さん参加のMASのアルバム。1曲降神が参加しています。