ドルフィーと異物感・異次元感
私が好きなジャズミュージシャンの中に、ある種の「異物感」を覚えるような演奏をする人たちがいます。その代表格が、エリック・ドルフィー(as,bcl,fl)です。
- アーティスト: エリック・ドルフィー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2010/06/16
- メディア: CD
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前にも少し書きましたが、私はこのアルバムに衝撃を受けて本格的にジャズを聴き始めました。それ以前にもビル・エヴァンスあたりを「ジャズってお洒落でかっこよさそう」というステレオタイプをもって聴いていて、「ワルツ・フォー・デヴィ」なんかを「いい曲だなー」なんて思ってたんですが、ジャズを自分にとって特別なものとして聴いていたわけではありませんでした。ところが、このアルバムを聴いた時に、他のものとまったく違う何かが演奏されているように感じたのです。アルトもバスクラもとっても”ヘン”だし、ソロの展開も次にどこに動くかまったく予想がつかない。こんなにかっこよくて、変わってて、刺激的な音楽があるんだということを教えてくれたのがドルフィーでした。
ドルフィーの演奏は、バンド全体のサウンドの中ですごく異質のものに聴こえることがあります。たとえばオリバー・ネルソンの「ブルースの真実」。きれいなアンサンブルの後にドルフィーのソロが始まると、その瞬間に空気がパッと変わるように感じます。ミンガスやジョージ・ラッセルといった個性的なリーダーのバンドの中にいても飲み込まれることなく、一人異次元の音楽をやっているように思うのです。
「異物感」という点では、セロニアス・モンクやローランド・カークも同じようなものを持っていると思いますが、彼らはバンド全体のサウンドを自分の色に染めてしまうタイプではないでしょうか。ギル・エヴァンスのオケとカークの共演盤がありますが、あれはカークが出てくると「カーク withギルオケ」になってしまう(笑)。ドルフィーはそれとは微妙に違うように思うのです。
そして、「異物感」という意味で、自分にとって一番ドルフィーに近いものを感じるのは、林栄一さんです。演奏のスタイルや内容が似ているとかいうことではないのですが、たとえば渋谷毅オーケストラで林さんのソロが始まると、同じような空気の変化、異次元の演奏を聴いている感覚があるのです(渋オケの他のメンバーに興味がないわけではありません。全員最高です)。
今改めて聴くと、やはりエヴァンスもとんでもないミュージシャンですし、モンクやカークもめちゃくちゃ好きなんですが、自分にとってドルフィーは特別な存在であり続けています。日々日常的に聴いているわけではありませんし、録音をコンプしているような熱狂的なマニアでもないので、偉そうなことは言えないんですが、色々ジャズを聴いていて、何だかんだで帰ってくる場所はいつもドルフィーなんです。
- アーティスト: エリック・ドルフィー,ベント・アクセン,エリック・モーズホルム,ヨルン・エルニフ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/10/17
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定期的に、このアルバムの「Laura」を聴きたくなります。カデンツァにめっぽう弱くて、条件反射的に泣けてきます(笑)
- アーティスト: オドゥン
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2000/07/01
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作曲が素晴らしいし、林さんの無伴奏ソロも聴けておススメ。メンツも豪華です。