副島輝人『世界フリージャズ記』
実はだいぶ前に読了していました。
- 作者: 副島輝人
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2013/05/23
- メディア: 単行本
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長きにわたって前衛ジャズを追い続けてきた評論家・プロデューサーである副島輝人氏の新著です。
『世界フリージャズ史』でも、『世界フリージャズ論』でもなく、『世界フリージャズ記』というタイトルですが、看板に偽りなし、たしかにこれは”記”の要素が強い本だと思います。全6章のうち、2~5章は副島さんが実際に目撃してきた世界中のジャズフェスやライブのレポートになっています。メールスやロシアのフェスについてのレポートはかなり貴重なものだと思いますし、読み応えがあって素晴らしいです。読んでいてかなりわくわくしますし、表現力は「さすが」の一言。
その他、エヴァン・パーカーやアンソニー・ブラクストンといった巨人たちの紹介や、ディスクレビューなど。どれも面白かったのですが、残念なのは最近の文章が少ないこと。80~90年代に様々な媒体に発表されたものが大半で、書き下ろしのものは簡単なライブレポート(日記のようなもの)くらいでしょうか。最近でもピットインなどでお見かけすることがありますし、ジャズへの情熱はまだまだ衰えていないのではないかと思いますが・・・。
いま現在の前衛ジャズ、フリージャズにおいて、「副島輝人」に代わり得る存在はいないのでしょうか。たとえばヴィジョンフェスティバルに実際に行ってレポートしたり、フェス主催者に日本のミュージシャンを紹介したり、海外のミュージシャンを日本に招いたり、そういったことができる人が登場すれば、またもっと面白い動きが出てくると思うのです。
≪関連動画≫
Moers-Festival 2013 - Zorntag - YouTube
今年のメールスの動画を発見。11分くらいからのジョン・ゾーンの演奏、シビれます。先日のヴィジョンフェスティバルもust配信していたみたいですし、こうやって日本にいながら見れるというのはありがたいですね。