Trio 3 + Jason Moran / Refraction ―Breakin' Glass
定期的にやってくるオリヴァー・レイク熱。
Reggie Workman(B), Andrew Cyrille(Ds, Vo), Oliver Lake(As, Ss, Vo), Jason Moran(P)
レジー・ワークマン、アンドリュー・シリル、オリヴァー・レイクというジャズレジェンド3人のトリオに、今をときめくジェイソン・モランが加わったアルバムを購入。Trio 3は全員70歳以上ですが、過去の栄光にすがる懐古趣味セッションのようなものではまったくなく、なかなかに尖った良作です。
黒人フリージャズの闘士3人のグループというと暑苦しくてドロドロしたものを想像しがちですが、サウンド全体に適度な緊張や不安感があり、ある種のクールネスを醸し出しています。プロデュースがクレジットされていないし、リーダーが誰かよく分からないので確かなことは言えませんが、こうしたテンションを作り上げるのはオリヴァー・レイクの資質なのではないかと思っています。レイクの初期のリーダー作(の一部)やオリジナルメンバーの頃のWSQに通じる空気感が少しだけあるような。
余談ですが、「ロフトジャズ」と括られるものの中には多様性があって、いま活躍しているミュージシャンにも相当色々な形で影響を与えていると思います(ヴィジェイ・アイヤーがマイケル・ジャクソンの曲と一緒にヘンリー・スレッギルの曲をやってたりするのは面白いと思うのですよ)。“あの時期の暑苦しいジャズ”、“終わったムーブメント”として軽く扱うのはもったいないのではないかと。
それはさておき、クールさや緊張感だけでなく、もちろん熱く盛り上がるところもあって、特にレイクのサックスは流石の迫力です。あのどこか詰まったようで突き抜けた、独特の音でブチ上げる瞬間はたまらないものがあります。そのレイクと絡むピアノのジェイソン・モランも素晴らしいの一言。美しく刺激的です。英語版wikiを見たら、ムハール・リチャード・エイブラムスやアンドリュー・ヒルに師事したとのことで、このトリオのサウンドにばっちりハマるのも何か分かるような気がします。レイク、アンドリュー・シリルのラップっぽいヴォーカルも悪くないですし、なかなか気に入りました。
≪関連動画≫
trio 3+ Jason Moran High Priest - YouTube
冒頭のヴォーカル(?)はアンドリュー・シリルのものらしいです。
World Saxophone Quartet Come Sunday (HQ) - YouTube
このクールさ。アレンジがたまらなくカッコイイ。