川下直広カルテット@入谷なってるハウス
かぶりつきでド迫力。
2016年5月28日(土)川下直広カルテット@入谷なってるハウス
川下直広(Ts)、山口コーイチ(P)、不破大輔(B)、岡村太(Ds)
川下直広カルテットの新譜『初戀』発売記念ライブに行ってきました。リーダー川下直広さんの目の前の席で、思う存分テナーの音を浴びることができて大満足でした。演奏されたのはたぶん以下の曲(メモ取らなかったので順番とか諸々間違ってる可能性あり)。
<1st>
Alfie(Burt Bacharach)、The Rain(Eddie Gale)、Saving All My Love For You(Michael Masser, Gerry Goffin)、You've Got To Have Freedom(Pharoah Sanders)
<2nd>
First Song(Charlie Haden)、Misty(Erroll Garner)、Things Have Got To Change(Cal Massey)、The End Of The World(Arthur Kent)、I Love You(尾崎豊)
新譜のライナーノートには「革命」や「戦場」といった物騒な言葉が躍っているんですが、個人的にはそういったイメージが喚起されることはまったくなく。もちろん熱気や良い意味の暑苦しさもありますが、スタンダードやポップスカバーを歌い上げるこのバンドの演奏から感じたのは、強烈な生々しさをもった「ジャズ」でした。
一口に「ジャズ」といってもジャズ観なんてものは十人十色、百人百色。端正なピアノトリオにうっとりするのが好きな人もいれば、統制の取れたビッグバンドを愛する人もいるし、ドシャメシャフリーの自由さに熱狂する人もいて、それぞれに「これぞジャズの醍醐味!」と感じるところがあると思うのですが、私にとっては川下直広カルテットの演奏がまさにそれ。
独特なビブラートの効いた川下さんのテナーは力強く「息」を感じさせるもので(息継ぎすらもカッコイイ)、管楽器の美味しいところが詰まっています。シンプルに演奏されるホイットニー・ヒューストンや尾崎豊といったポップスのカバーは、下手をするとクサいムードテナーになってしまいそうですが、川下さんの演奏からいつも連想するのはローランド・カークやアーチー・シェップ、アルバート・アイラーといった名前。ポップスやR&B、黒人霊歌などを「歌う」テナーの系譜にあると勝手に思っています。地を這うような不破大輔さんのベースもそんな川下さんのテナーと相性バッチリで、私の好みど真ん中。実にたまらん演奏でした。
新譜の正式な発売日は6月19日(地底レコードの通販受付はもう始まっています)。この記事冒頭に貼ったフライヤーの画像の通り、まだまだライブあるそうなので興味がある方はぜひ。ライブ会場で、生で聴くことをオススメします。
ちなみに@Sightsongsさんも聴きに来ていて(ブログ記事参照)、開演前から帰りまでずっと音楽の話。JAZZ TOKYOの取材やレビューの裏話なんかも聞かせてもらったり。大変楽しかったです。
<参考動画>
Kawashita Trio / You've Got To Have Freedom (1/2) 川下直広トリオ